電子聴診器性能評価 -準備編-

ちょっと前に書いた記事『電子聴診器 -digital stethoscope-』がマニアに受けている感じがするので、もうちょっとちゃんとやる。

電子聴診器では、心音をデジタル化するため、周波数特性の調整も容易だ。
教育目的であれば、多少の情報ロスは犠牲にしてもI 音は II 音が聞こえた方がいい。
逆にある程度診断まで視野に入れるならば、従来の可聴範囲+α の機能は欲しい。

そういうわけで、手持ちの python 環境で電子聴診器が出力した音声ファイルの解析(まずは FFT による周波数解析)の準備。

まず、適当にネットに落ちている心音ファイルを拾ってくる。

 

なお、ドッドオッ・・ドッドオッ・・ドッドオッ・・と聞こえると思うが、最初のドッが I 音、続くドオッが II 音と呼ばれるもので、これは正常心音。

 

Python に読み込ませて可視化するとこうなる。

サンプリング周波数と後述する FFT (Fast Fourier Transformation 高速フーリエ変換)の関係上、解析するデータは冒頭の5秒程度。

これを FFT にかけて周波数全範囲(この場合はサンプリング周波数が 48kHz だったので 0-24kHz )にわたって図示すると以下のようになる。

かなり低い周波数に集中していることがわかる。

0-200 Hz だけに注目すると以下のようになる。

結果に自信はなかったのだが、専門の人に聞いたら概ね正しいらしい。
ただ、もうちょっと良いマイクで録音すると200-500 Hz 領域にも信号は載る。

https://ispub.com/IJMT/4/1/9375 より

I 音の時間分解能がより詳細なことがわかる。

 

だから、元の音は、心音の音っぽさを出すために 200Hz 以上をカットオフした「教育用」「音響効果用」の音源のようだ。

もちろん、その用途で使う分には十分なのだろうが、医療用となると心雑音あたりまでは聞こえて欲しい。
さらに欲を言えば、この手のデータが院内システム(電子カルテ)などと連動して欲しいと思っている。

いくつかの企業が、テストして欲しいということなので、手が空いたら、この続きをやるかもしれません。

 

猪股弘明
医師:精神科(精神保健指定医)
OpenDolphin-2.7m 開発者

 

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