「境界領域」という魔力

ちょっとした集まりがあったとき、この話題が出て、後で学生さんがまとめてくれたので再録。


進路に悩む理系高校生あたりが興味を持ちそうな分野が「境界領域」というやつだ。
生物と物理で生物物理、医学と工学で医用工学、生物学と情報学でバイオインフォマティクス …..などなど。

異分野が結合することで「これまでにはない何か」がそこにはうまれそうな感じがして、惹きつけられるんだろうが、ちょっと待ってほしい。

経験から言わせてもらうと、古臭くても確かな方法論を持った分野をまず修めておかないと、両方とも中途半端で終わっちゃう危険性が強いです!

なんで、こんなことを書いたかといえば、私の所属研究室も「異分野融合」ということをやっているように受け取られている節があるから。

オプティカルの方の光学で取り組んでいるテーマが、医療機器とリンクできるので確かに派手なオーラを放っているようには見える。
が、あれは、上の先生が基礎的なスキルを完璧に近い形で持っていて、その上で柔軟に対応しているからできることであって、素人がいきなり手を出したら火傷するだけです。


なんで、これを引っ張ってきたかと言えば、私がやっていることも「境界領域」とみなされることが多いから。
私の場合は、まず物理で思考のスタイルがある程度確定して、その後、医学系にうつった。専門は精神医学なのだが、物理の知識や経験が役に立つことはほとんどなかったが、ECT(ElectroConvulsive Therapy)に関しては例外的で極めて役に立った。
ただ、これ狙ってやったかといえば、もちろんそんなことはない。臨床業務で疑問に思ったことを追っていったら、いつのまにか物理寄りになったというのが本当のところだろう。
個人的には高校生当時「生体工学」には興味は持っていたのだが、大学でいきなりそれを専攻しなくてよかったと思っている。

 

猪股弘明
医師(精神科):精神保健指定医

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