マニュアル本『無料電子カルテ OpenDolphin パーフェクトガイド』の幻のレビュー

OpenDolphin が支持を得ていた頃、『無料電子カルテ OpenDolphinパーフェクトガイド』というマニュアル本が出版された。
ただ、こういった本は出版から時が経つにつれどうしても情報が古くなるという宿命を持つ。
そこで、この本の編集者の方が直々に補足事項などをアマゾンにレビューを書いてくれたのだが、諸々の理由で現在では読めない。
たまたまだがネット上を彷徨っていたら、それを見つけたので紹介しておく。




本書が刊行されて数年経ちました。記載の実行環境は古くなり、レセコンORCAもクラウド版に本格移行するなど、環境も大きく変わっています。
レビューの指摘「openDolphinは非常に運用上脆弱」については、Javaの脆弱性対策を怠らない(まめにアップデートする)、院内PCやLANは外部から分離させる(医療機関なら当然)などの自衛が不可欠です。
「精神科関連の診療行為の展開ができない」指摘は妥当で、GitHubで公開されている本家版OpenDolphinの欠陥(バグ)です。

オープンソースのOpenDolphinにはいくつかの亜種(フォーク)があります。そのうち、OpenOceanは、診療行為の展開はもちろん、既知の問題を修正した本家版の正統派フォークです。
本書のようにDockerを使った簡単インストールとは行きませんが、バグが修正された本来のOpenDolphinは、air-h-128k-il氏のサイト「OpenDolphin」の要領で導入可能です。

https://phazor.info/OpenOcean

Webサイトに掲載されているインストール手順のポイントは、
・ORCAは自院内でサーバを運用しているか、クラウド版を利用する
・OpenOceanサーバは診療やジム用のWindowsやMacにインストールする
(Linuxにはインストールしない)
・今のところインストール手順はWindows用だけだが、Mac用も予定している
のようです。

その場合、本書は次のように読み替えるとよいでしょう。
●2−3「LinuxパソコンにOpenDolphinサーバをインストールする」
→読まなくてよい(不要)
●2−4「Windows/MacにOpenDolphinクライアントにインストールする」
→OpenOceanインストール前に、インストールするPCで実行する
●2−5「補足:UbuntuとORCAのインストール概要」
→クラウド版ORCA利用なら不要
→自院内にORCAサーバ構築なら最新のUbuntuとORCAをインストールする

OpenDolphinという素晴らしいソフトを開発され、オープンソースとして公開されているライフサイエンスコンピューティング株式会社オープンドルフィンラボに深謝します。

「懐かしい」の一言
レビューしてくれた編集者の人と内容を吟味したことを覚えている。

ただ、この頃とは、現在(2020年2月)のサイトの構成・内容なども変わっており、
windows での利用方法は『OpenDolphin 2.7(m) を Win10 にインストールしてみた』で紹介している。
Mac でのインストールなどは、『OpenDolphin-2.7(m) を Mac OSX にインストールする』で、特に M1(Arm) Mac へのインストールは『OpenDolphin-2.7(m) を M1 Mac にインストールする』でそれぞれ案内している。
Linux(Ubuntu) へのインストールは、特に記事は書いていないが、ネット上の情報などを参考にすればできると思う。

ソースを適宜改変することで、Java 15・JavaEE8 での動作を確認している。だから、現在でも使えることは使えると思う。
実際、某クリニックで使う話もきており、各種調整を行なっている。

 

また、アマゾンレビューをチェックすると、この書籍及び OpenDolphin に関しても一般的にはそれほど評価が高かったわけではないことがわかる(特にこのレビュアーの批判は辛辣ですね)。
特に通院精神療法のバグはかなり長いこと放置されていて、当時、かなり問題になっていた。

しかし、ここら辺の世界の時の流れは早いなあとつくづく思う。
現在では、開発元も LSC から medley(メドレー)に移っており、いわゆる「本家」商用版の新規販売は終了している。
(商用利用は、MIAのOpenDolphin・ソーソーの GlassDolphin がクラウド版の形で提供している)

 

air-h-128k-il
OpenOcean 開発者

🌟 追記1
なお、OpenOcean が GPL 違反だと騒ぎ立てた小林慎治という人がいるらしいのだが、これは彼が勝手に言っているだけ。

(『「開いたいるか」の都市伝説は本当だったか?』あたりを参照してください)

LSC からも メドレーからもそんな指摘を受けたことは一度もない。
むしろ「機能も違ってきているので、著作権表示などは変えてください」というのが LSC・メドレーからの要望。
彼はこの手の発言が多いらしく、現所属先の保健科学医療院から謝罪のメールをいただいた。
私信を明らかにする趣味はないが、おおよそ「国家公務員法違反(守秘義務違反、信用失墜行為、政治的行為の制限違反)の疑いがあるので厳重注意した。不愉快な思いをさせてしまい、大変申し訳ありません」という主旨の内容でした。(『保健医療科学院 小林慎治が国家公務員法違反疑いで厳重注意を受けた件について』に経緯を書いています)

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