論理的な文章を書くときのいくつかの決まりごと -未定義単語をそのまま使わない-

前回、イントロみたいなことはやったので、今回は、細かい話。

論理的な文章を書くときのいくつかの決まりごとの一つとして、「未定義単語をいきなり使わない」というのがあります。

例えば、一般の人向けに医療用語のSOAPという言葉を出したい時にそのまま使うとまず伝わらないので、予め軽く説明しておきましょうってことです。
なお、情報分野でSOAPと言ったら、Simple Object Access Protocol の略です。
同じ医学系の用語でも精神科関係で RIS と言ったらリスペリドン(向精神薬)を指すし、放射線科関係で RIS と言ったら Radiology Information System(放射線科情報システム。DICOM ノードや PACS からなるシステムのこと)です。
読んでいる側がどちらを指しているかわからないということもあるし、書く側からしたら、予めその言葉を説明する時に、自分なりの解釈をそっとしのばせるなんてワザも使えるので、そうした方がメリット多いんですよ。

ところで先ほどコメントで SBAR(エスバー) なる単語を出した人がいますが、医療関係者であってもこの言葉を知らない人は多いでしょう。

こういう場合は、ひと工夫必要。

例えば、SOAP と対比して SBAR を比較して紹介するなんて構成にするとこの言葉を知らない人にも伝わりやすくなります。
例えば、

「患者の状態をアセスメントするためにこれまで
S(subjective:主観的情報)
O(objective: 客観的情報)
A(assessment: 評価)
P(plan:治療計画)
の4項目からなる SOAP という形式でまとめることが慣例的に普及しているが、臨床現場においてはコワーカーが医師に患者の状態を『伝える』機会が多いため、この点を重視した SBAR という形式が提案されている。
SBARとは・・・」
というような書き出しにすればいいわけです。

また、ついでに言っておくと、何か新しい概念を紹介説明する場合、従来のやり方を「まず」説明しておいて、その対比においてメリット・デメリットを列挙していく、というスタイルにすると語りやすくなります。

 

猪股弘明
医師(精神科:精神保健指定医
理学士(物理

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です