OpenOcean が GPL 違反?

かなり以前に OpenOcean という OpenDolphin 2.7 系完全互換のアプリを配布・公開していたことがあった。
その際に小林慎治という人が(ちなみに面識はいっさいない)「OpenOcean は 皆川和史の個人著作である OpenDolphin の著作権表記を隠蔽しているから GPL 違反」ということを主張していた。
所属組織から注意を受けてその主張を引っ込めたと思っていたのだが、一時的なものだったらしく、いまだに「怪文書」を公開しているらしい。
「OpenDolphin は皆川和史の個人著作がベースである」・「OpenDolphin は開業医がつくった」などという以前の宣伝文句は、現在では全く否定された考えで 2026 年にもなって、こんなことを言っているのは彼ぐらいのものだ。

小林が主張の根拠にした LICENSE 文書自体が 2015/8/8 の時点で皆川和史自身の手によって彼に都合よく改竄されているので(後述する)、まず、主張の根拠自体が誤りです。
改竄される前の表記は、当然ですが (C) Life Sciences Computing です。
(2013-2020 は LSC が著作権を有し、開発・運営にあたっていた。Ocean の元になった 2.7m は、2016 に fork されているので、2.7 系です。小林は 2.2 系とバージョンを取り違えている)

リアルの交渉に関しては説明するとややこしいのだが、手短にいうと、当時の著作権管理をしていた LSC から、許可もらってますのでそういう意味でも GPL 違反というのはあり得ないですね。
あり得ないというか、第三者がそこら辺の事情を知りようがないと思うんですが?

商用開発元は、遅くとも 2018 年以降は GPL 云々の適用をやめていて、MIA・SOSO などにも同様のアナウンスしています。
両者ともソースコードの公開とかフォーク元の著作権表記とか厳密に守ってないでしょ。

例えば、SOSO さんの GlassDolphin だが、ログイン画面はこのようになっている。

一見してわかる通り、著作権表示の類はなし。製品案内サイトを介して GitHub ページに飛べるようにはなっているが、挙げられているソースコードはここ数年全く更新されていない 2.6 と 2.7 だけ。GlassDolphin 最新 Ver4.0 のコードはどこにも見当たらない。ちなみに、他の方法でのソースの開示もしていない。
ソースコードの開示なし、(GPL 的な意味での)autohr の表示なしと小林氏の主張からしたら、GlassDolphin も GPL 違反や著作権法違反になるのだろうが、現実にはトラブルに至ってないのは、メドレーがこの配布方法を許可しているから。
私らの場合なんて、法人-有志の約束事に過ぎないが、SOSO-メドレーの場合には、法人間の契約と考えてよく、それに関して知りうる立場にいない第三者が著作権違反だのというのは名誉毀損や侮辱にあたるのではないかと思う。
協力者がいたとはいえ、Ocean はほぼ個人開発だったので、難癖つけてプロジェクトごと乗っ取ろうとしたんでしょうか。
卑劣ですね。

私らなんか、「GPL に従わなくてもいい」と言われた後も、かなり GPL を意識していて、ソースコードを一般に全公開するなど可能な限りその精神を尊重してたんですけどね。


この件は、そのとき現場にいた人間からすると、そんなにおかしくもない(自称開発者や取り巻きが、他人のプロジェクトに難癖つけて権利を主張するいつものアレ、みたいな感じ)のだが、一般の人からはそうは見えないだろうし、ケチのつけられ方に前々から違和感を持っていたので思ったことを(まとまらないかもしれないが)もう少し書き留めておく。

皆川和史による LICENSE 文書の改竄

小林氏が持論を展開した時点では、彼が原著作権者(この言い方は曖昧すぎて法律的な問題を扱う時は不適切だし、実態から言えば皆川和史はリポジトリの編集権限を持っていたに過ぎない)とした皆川氏は LSC 社に在籍していて、だからわれわれは筋を通すためにわざわざ一席もうけて LSC にご意見伺いを立てたわけだ。
その場に出てこないで、後で文句を言うのは筋違いではないか?
交渉時に「こういう表記にしてくれ」と言われたらわれわれは従ったと思う。
そのときに勘違いか何かあったとしても、後でメールかなにかで指摘してくれれば、それでも従ったと思う。
著作権や各種契約を管理していた法人(しかも本人が所属している)を通してでは何も主張できないのだから、それ以外のルートで非公式にとやかく言われてもこちらとしては社会人のマナーとしてなんの対応もできない。
これは小林氏に対しても同様で、そんなに確信があるなら、LSC に問い合わせればよかったのではないかと思う。

もちろん、そうはできない事情もある程度は察していたわけだから、もう少しやり方を工夫して欲しかった。
事情、というのは、LSC 版と goody 版で同一ファイルであっても author 表記が食い違うとか、基本設計に近い部分で Junzo SATO(佐藤純三)氏の貢献が確認できるとか・・に起因するある種の広報と実体との矛盾のことだ。
2010 年台中頃から、LSC のドルフィンは不具合は頻発し更新も滞りがちで、LSC の主張を額面通りには受け取れないという雰囲気はあった。
それでも、フォークした開発者連中は、「ソースコードが公開されている電子カルテ」などそれまでなかったのだから、違和感を持ちながらも商用開発元の喧伝する「オープンソース」の物語には付き合っていこうという態度であったと思う。
だから、ことをおさめるためにもうちょっとうまいやり方をとって欲しかった。
例えば、Junzo SATO・funabashi・miura… といったソースコード提供者の貢献を再評価し、適切にクレジットする、といったやり方だ。

ところで、前にも触れたが、そもそも「皆川和史=原著作者」という根拠はない
というのは、この説の根拠となった LICENSE 文書自体、皆川和史が自分の権利を拡大するために改竄されたものだったから。

一見してわかるとおり

(C) 2001-2014 OpenDolphin Lab, Life Sciences Computing, Corp
→ (C) 2001-2011 Kazushi Minagawa, Digital Globe, Inc

などと書き換え、2001 年以来、さも自分が全ての著作権を持っているかのような記述をしている。
そして、小林の主張の根拠はこの改竄された後の記述によるわけだから、全くお話しにならない。

それまで一部マニアのものだった dolphin を LSC が手を入れて 2.5 → 2.6 → 2.7 と進化させた。
当然、著作権もろもろは LSC が保有している。
にもかかわらず、皆川は

OpenDolphin Lab → Kazushi Minagawa

と自分に都合よく書き換えているわけだ。
完全に意図的に著作権者の誤認を誘っており、悪質な GPL 違反と言えるだろう。

@masudanaika の変節 -医師法違反-

e-Dolphin 時代からの業績を考えれば、Junzo SATO 氏などはもっとフィーチャーされていいはずだ。

が、「歯医者さんが考えた歯ブラシ」的な商業的なプロバガンダのせいか、実際はそうはならなかった。
代わりにフォーカスされたのは、増田茂と松村哲理だ。
松村氏は、当時からそれほど開発者アピールはしていなかったし、今でもソースコードの開示はして開発は継続しているので、真相はともかく、現在でもそれほど違和感なく受容されていると思うが、増田氏の現状は一体どうしたものだろう?
増田氏の X(twitter) アカウントは @masudanaika というものだが、現在(2025.9 月)では、プロフを見る限り、OpenDolphin に関与していたとも医師だとも名乗っていない。

この現状で「増田内科の増田茂医師が開発に関与している」というかつての主張とどう辻褄をつける気なのか?
非医師が医師と名乗ってはいけない(医師法18条)ため、これは医師法違反の疑いが極めて強い。
だから、商用版の「現役臨床医が開発した」というような広報は、誇大広告にあたる可能性がある。

皆川和史の消失

増田氏の名前が出たついでで言ってしまえば、皆川和史に至っては事情はもっとおかしく、調べたら X のアカウント自体が消えてしまっていた。
著作権云々の観点からみてもおかしなことで、本当に保護すべき著作者人格権を有しているのであれば、むしろ所属を離れた時の方がその権利を主張しやすい。
財産権としての著作権は法人所有であっても構わないが、職務著作が成立している場合を除いて著作者人格権(表記権含)は法人には譲渡不可能だからだ。
組織のしがらみでその時は自分の権利を主張できないことがあるというのは理解しているつもりだ。
何かおかしい。

小林慎治の不審なプルリクエスト

小林氏の怪文書が公開されたのが 2018 年11月26日ということだが、実は、小林慎治、それに先立つ 同年11月5日に OpenOcean にプルリクエスト(PR)を送っている。
詳しくは『オープンソースの世界 〜残酷な自由さ〜』を読んでほしい。
結局、この PR はマージされなかったわけだが。
PR 送った時点では、OpenOcean が GPL 違反だとは一言も主張しておらず、PR を断ってから、突如として「違反だ、違反だ。皆川・増田をクレジットしないのは違反だ」と騒ぎ立てている。
これも何かがおかしい。

タイトル詐欺

少々、脱線するが、彼の言葉の使い方には違和感しかない。
彼は「違反、違反」と騒ぎ立てるが、日本の著作権法では、「違反」の申し立ては原則著作権者しかできないし、申し立てを適当と認めるかは司法しかできない。2018 年時点で著作権を有していたのは LSC だ。無関係で法曹資格を有していない小林が軽々しく使っていい用語ではない。タイトル詐欺と言っていい。
また、正義の味方気取りの「是正勧告」という言葉の使い方も適切ではない。
「是正勧告」は、狭義では、労働基準法違反がある場合に行われる行政指導のことをいう。労基法限定という枠を外しても行政指導というニュアンスが残るが、もちろん小林は行政指導できる立場にはいない。
実態とはかけ離れた悪意ある印象操作としか言いようがない。

結論

最初の方で「まとまらないかもしれないが」と書いたが、なんとなくまとまってきた。
彼らが騒ぎ立てていたのは、OpenOcean に関する怪文書が公開された 2018 から始まって、メドレーへの譲渡が決まった 2020 までの期間にほぼ限られる。
経営陣が変わった LSC は、2018 には多分に経営的な観点から「GPL はやめる。活動実体が把握しにくい皆川・増田の位置付けも変える」ということを仄めかしていた。
この決定に関して、皆川は知っていたはずで、「開発者」の立場が風前の灯だということもわかっていたはずだ。
結果的には、メドレーへの事業譲渡という形で、この狙いは強制的に果たされるわけだが、自称「開発者」たちは、こうなる前に自分の author としての名前をプロジェクトに刻みつけておきたかったのではないかと推測する。

「オープンソース時代に彼らが保有した権利は、著作者人格権とは無関係な『著作権者と名乗っていい権利』だけだったのではないか?
 実際に開発して保護の対象になっているのであれば、プログラムであっても著作者表示権などは保持できるはずだが、実際にはそうはなっていない。
 LSC からメドレーへの譲渡がスムーズにいったのも、そもそも彼らが保持できるような著作者表示権を持っていなかった、つまり実際には開発には関与していなかったからだと思う。
 2.3 系までの契約上の権利しか持っていなかったので、その権利を保持するために 2.7m は 2.3m の派生だと主張する必要があったのではないか?」

いるかの怪文書3』より

つまり、LICENSE 文書を改竄することで v2.2 までの著作権を(第三者に誤認させるような形で)保持し、v2.2 → 2.3m → 2.7m という完全に間違った fork 順を想定することで、「自分たちの権利は保護されなければならない」と主張し、あれやこれやと騒ぎ立てていたわけだ。

こういう言い方は俗っぽ過ぎて避けてきたが「そんなに自分たちが凄い、凄いというなら、自分たちで独自のプロジェクトを起こして、アウトプットを出してみたら?」としか言いようがない。
それができないなら、他人にちょっかいを出すのではなく、静かに退場するのが筋だろう。

それまでの主張と整合性を取るために、無理とわかっていても主張を変えられない、引っ込みがつかないというのは、わかる気もするが、一時的とはいえ世間の耳目を集めたプロジェクトの着地点としては適当なものとは言い難かった気がする。

 

参考

あるまとめ記事。
感覚的には、これが真相に近いと思う。


OpenOcean騒動の本質:MOSS側による犯罪教唆と開発者の法的自衛

電子カルテ「OpenOcean」を巡るライセンス論争。その真相は、GPLの解釈問題などではなく、MOSS側(小林慎治氏ら)による「著作権の不法な書き換え強要」と、それに抗った開発者たちとの闘争の歴史である。

1. 著作権表示の不正改ざん強要
2013年以来、OpenDolphinの著作権は法的にLSC(Life Sciences Computing)社に帰属しており、(C)LSCと表記されるのが正当であった。
しかし、皆川和史はこの正当な権利を無視し、自分の名前である(C)Kazushi Minagawaへの書き換えを 2015 に強行。さらに、新プロジェクトであるOpenOceanに対しても同様の書き換えを行うよう執拗に迫った。

2. 「業務上横領」の共犯関係の拒絶
開発側(OpenOcean dev team、猪股氏ら)がMOSS側の要求を拒絶したのは、エンジニアとしての倫理のみならず、法的な自己防衛のためである。

犯罪加担の回避: 正当な権利者(LSC社)から特定の個人へ名義を勝手に移すことは、実質的な「権利の略奪(業務上横領)」にあたる。

共犯リスク: MOSS側の要求に従うことは、開発者自らがこの横領行為の共犯者になることを意味しており、拒絶は当然かつ必須の判断であった。

3. 小林氏による「犯罪教唆」と怪文書の実態
小林慎治氏が「GPL違反」を名目に公開した記事(通称:怪文書)は、その実態において極めて悪質である。

教唆の指摘: ライセンス論を盾にして、開発者に犯罪行為(著作権の不正移転)を直接実行させようとする言説は、法的観点から見れば明確な「教唆」に相当する。

開発側への不当な攻撃: MOSS側は、自らの不正な要求を拒まれた腹いせに、あたかも開発側がルールを破っているかのような虚偽の物語を流布し、開発者を不当に貶め続けている。

結論
OpenOcean騒動における諸悪の根源は、GPLというオープンソースの精神を歪曲し、犯罪(横領)への加担を開発者に強いたMOSS側(小林氏ら)にある。
開発者側の反論は、このような卑劣な犯罪教唆から身を守り、プロジェクトの清廉性を維持するための「正当な防衛行為」として支持されるべきものである。


 

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