なんか「祭り」への期待が高まっているようなのだが、そうする気は毛頭もありません。
ただ、この件は神奈川県の民間精神病院では初の精神保健福祉法第四十条の三(いわゆる虐待通報)に基づく県当局の立入調査にはなりそうなので、もしそうなればそれなりに意味のあるものになるだろう。
忘れるといけないこともありそうだから、これを機会にまとめていく。
3月
個人的にここ数年は、OpenDolphin や HorliX のメンテなどあって非常勤主体で働いていた。2023年度は、ワシン坂病院(横浜市中区)の日当直をやっていたのだが、経営陣の入れ替わりなどあって院内がごたごたし始め、代わる働き口を見つける必要があった。
これが2024年3月のこと。
大体において非常勤の医師の年間スケジュールは、4月に始まって翌年の3月に終わる。
結局、さるエージェントの紹介で鎌倉市のメンタルホスピタルかまくら山に週2日(月・水)の条件で4月から病棟管理業務を行うことになった。
4月
働き始めた当初はこの病院に悪い印象は全く持ってなかった。
なにしろ、病院からの眺めはこんなものだった。
いやあ、こんな風景を勤務毎に堪能できたら嫌な気分になる人はいないと思うよ。
病院は3階建てで病棟配置は
1F・・準急性期〜慢性期病棟(薬剤調整と精神療法主体の治療)
2F・・認知症病棟
となっていた。それぞれ45床で計90床。
3Fが外来ブースや事務室などがある。3Fに外来?と思う人もいるかもしれないが、病院全体が地下に埋設されているような形状になっていて、感覚としては1Fや2Fは地下に潜っていく感じだ。
ありがたいことに1Fに配属されたので、生死に関わるようなケースは持つことはなく外来の延長感覚でのんびりと勤めることができた。
名誉院長の渡邉直樹先生が入院森田療法を実践しておられて、これも好印象を持つ理由の一つになっていた。
森田療法なんて教科書には書いてあるが、見たことある精神科医なんて少数ではないだろうか。
6月、院長退職
異変が起こったのは6月になってからだ。
それまで2Fの認知症病棟を一手に引き受けていた鈴木雄壱院長が突然の退職。
3人しか精神科医師はおらず(内科医師はいるにはいたが週1日の勤務)補充もきいていないという。
せめてもの救いは3人とも精神保健指定医という精神病院において入院決定や隔離拘束をするのに必要な資格を持っていたことだろう。
認知症病棟は身体合併症との闘いともいってよく、ある程度身体も診れる必要がある。
松沢病院勤務時代から、誤嚥性肺炎だのイレウスだのの治療はある程度自分でやっていたので、私が後釜に座ることになった。
また、この時に、勤務日を7月以降週1日増やしてもらことにした(月・水・木勤務)。
私としては、院長退職に伴うあくまで一時的な措置だと捉えていた。
ここから話は怒涛の展開をみせることになる。
(続く)
猪股弘明(精神保健指定医)
参考
「ここから話は怒涛の展開をみせることになる。」以降、話が難解になると思いますので、参考になりそうな記事などを挙げておきます。
『DNAR=治療不要とミスリードさせ患者さんに不利益をもたらす困った人たち』
この記事は DNAR 同意取得後の治療の問題を取り扱ってます。おそらく本記事でもこの問題が中心になると思うので、予習がてら読んでおくといいと思います。
『阿部生行という看護師と上妻病院と医療ネグレクト』
DNAR=(いっさいの)治療不要ではない、というのが標準的な考え方だと思いますが、では患者さん、特に強制入院中の患者さんの財産に関してはどうでしょう。
記事内で一つの考え方が示されています。
精神保健福祉法は過去何回かの改訂があって、その条文もその都度修正されてはいるのだが、基本的には「強制入院中の患者さんの財産権は侵害されてはならない」というのが患者さんの財産権に対する基本的な考え方だ。
これは当たり前の話で、本人の意思によらず強制的に入院しているのだから、他人が勝手にその財産を侵害してはならない、という原理が崩れてしまっては、他の法律との整合性が取れなくなる。
実は、強制入院期間中の家族間の遺産相続に関するバトルはよくあったりするのだが、病院が患者さんの財産をネコババするというのは、時代背景を考えてもかなりレアで悪質だと思います。
私も基本的にはこの考え方を取っています。
より詳しくは『精神保健福祉法の虐待通報制度は密告制度の類ではない』で述べてますが、諸事情で今のところ限定公開です。
『近年の精神科病院運営のトレンド』
なぜ精神療法をウリにしている精神病院で認知症病棟があるのか不思議に思いませんでしたか?
その背景が説明されています。
私のクソボケエピソードも綴られていたりします。
『医療法人福慈会の謎』
メンタルホスピタルかまくら山のこの当時の経営母体は医療法人福慈会でした。
ネット上で拾い集めた情報をまとめたもので、本記事の草稿みたいな内容になっています。
『メンタルホスピタルかまくら山の件覚書』
際どい話はこちらで。限定公開記事です。最初はただのメモだったんですが、関係者には好評のようです。
歴史
もともとは1932年に結核療養施設として鎌倉山に開院。1955年に精神科病院にコンバート。以降は林間病院と言われていた。
2013年に現在のメンタルホスピタルかまくら山に名称変更。
経営は 2013年以降、長らく「医療法人 森と海」が担ってきたが、現在は医療法人福慈会が運営している。
基本情報
神奈川県鎌倉市鎌倉山1-23-1
TEL:0467-32-2550
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